物質の移動、浸透圧やろ過について
こんにちは、福太郎です。
今回は物質の移動についてです。
理科の授業でも習う言葉ですが浸透と言う現象が細胞間で起こります。水に食塩や砂糖を溶かして水の移動をみるものですが、人間の体内でも同じように水の移動が行われます。
生理学においては3つの移動を説明します。
<拡散・浸透・ろ過>の3つです。
簡単に説明して見ましょう。
⑴拡散
文字通り物質が広がっていく現象です。透明な水に僕の大好きな午後ティーをたらせばじわぁ〜と広がって行ったり、ビンの蓋を開けたら匂いがふわぁ〜と広がって行ったりするのが拡散です。
また、気体同士、液体同士だけでなく、気体と液体の間でも拡散は起こります。
例えば水素水や炭酸水のように気体が液体内に溶け込んでいる状態はご理解ください。
人体では肺の中でこの拡散が起こっています。吸い込んだ気体の酸素が毛細血管内の血液に拡散するのです。
⑵浸透
浸透とは膜で隔てられた液体において水があっちに行ったりこっちに行ったりする現象のことです。食塩を入れた塩水とただの水を半透膜を隔てて接しさせると食塩水の方にどんどん水が通り抜けていきます。この時に水が移動する力のことを浸透圧と言います。
水の中に何か物質があると、その物質が水を引き寄せる力のことです。上の例では塩が水を引き寄せるので、水だけの方から塩水の方へどんどん水が移動していきます。
人体では細胞と毛細血管や細胞間質液の間で起こる現象です。細胞内にはただでさえ核や小器官が存在しますし、ナトリウムなどの溶媒もあります。なので循環している血液の水分が細胞に浸透したり間質液の水分が細胞に浸透したりします。
塩分の多い食事をすると血圧が上がると言いますが、これは消化吸収した塩分が血液内に留まり水を引き寄せることで血液量が増加します。血管の太さや伸び具合はすぐに変わるものではないので同じ管の中を通る液体の量が増えればパツパツになって圧力が上昇する=血圧が上がると言うことですね。
逆に腎不全の患者さんは下半身がすごくむくんだりします。これも同じ原理で、余分な塩分などの物質を捨てるための腎臓が悪いので体内に不要物が残りやすくなります。
この塩分などが血液中に留まり続ければ血液量が増しますが、限界があります。その限界を超えて吸収された水分は血管をしみ出て細胞間質液が増えます。そうすると細胞が溺れるくらい水でひたひたになってしまい下半身がむくんでいきます(重力で下に落ちるから)。
こんな感じで「浸透」と言う現象はたびたび出てきますのでしっかり覚えておいてください。
⑶ろ過(濾過)
ろ過は腎臓で行われる物質移動です。毛細血管にはかなりの大きさの穴が空いており、水だけではなく物質やイオンも通します。腎臓は上でも書いた通り、多すぎていらない物質や水分を排泄する臓器なので、毛細血管の穴を通して色々なものが捨てられます。
料理が好きな人はわかりやすいと思いますが、「こす」ことと同じです。
毛細血管も血流があり常に流れているので、水が流れ続ける圧力が存在します。この水圧(毛細血管圧)で毛細血管の穴から物質が外に押し出されることをろ過と言います。
じゃあ血管の水分は無くなるのかと言うとそうではありません。
小さい穴は空いていますが、血球などの大きいものは血管内に残るので、これらの大きな物質が浸透圧を持ち血液がカラカラになるのを防いでいます。
これを膠質浸透圧と言います(膠質と言うのはタンパク質のことです)。
長くなったので、物質の移動を一旦区切ります!
次回は受動輸送と能動輸送についてざっくり解説します。お楽しみに!